FP3級の勉強を始めるとき、市販のテキストや問題集を買えば費用がかかります。一方で、試験問題そのものは公式サイトで無料で公開されています。この記事で扱うのは、どこまで無料で足りて、どこからお金を払う価値があるのか、その線引きです。勉強法の手順は書きません。
無料で手に入るもの
試験問題と正答は、費用をかけずに手に入ります。日本FP協会は3級の試験問題と模範解答を、金融財政事情研究会(きんざい)も3級の試験問題と模範解答を、それぞれ公式サイトで公開しています。閲覧に申込みやログインは要りません。ただし公開されるのは実施されたすべての問題ではありません。現行の3級はCBT方式で、日本FP協会は毎年5月下旬ごろに1セットを公表し、同じページに過年度の公表分も残しています。
気をつけたいのは、公式の模範解答が正答だけで、なぜその答えになるのかの解説は付いていない点です。問題と正答は0円で手に入りますが、正誤の理由を埋める解説は、これとは別に用意することになります。
理由の解説をどこから得るか
理由の解説も、無料でまかなえます。過去問を解説付きで載せた無料の演習サイトがあり、運営者もそこ(FP3級ドットコム)を使いました。有料になるのは、問題や正答そのものではなく、分野を体系的に説明したテキストや、解説を厚くした市販の問題集のほうです。
問題・正答・理由の解説まで、無料でそろえる経路があるわけです。有料のテキストは、この無料の経路で埋まらない部分を補うために買うもの、という位置づけになります。
無料で足りるかを測る線
無料で足りるかどうかは、実際に1回分を解いてみると外から判断できます。ここでの1回分は、学科と、自分が受ける予定の実技科目の両方です。
- 過去問を解き、無料の解説サイトで正誤の理由を追えるなら、無料でまかなえます。つまずいた分野だけ、後から補う形で十分です
- 無料の解説を読んでも用語の意味そのものが分からず、そこから調べ直しても手がかりにたどり着けない分野があるなら、その分野は無料の解説だけでは埋まりにくく、補う教材を別に用意することになります
この線は「解けるかどうか」ではなく「解説を読んで理由まで追えるかどうか」で引きます。最初は解けなくてかまいません。無料の解説で埋まるなら無料で足り、埋まらない分野が残るならテキストの出番です。
テキストにお金を払う価値がある条件
無料の演習と解説で埋まらない部分が出たときに、それを補う手段の一つがテキストです。買うかは、無料でどこまで埋まったかと、候補の本の中身を見てから決めます。次の両方がそろったときが目安です。
- 6分野(ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継)のうち、無料の解説を読んでも前提の用語から追えない分野が残ること
- その分野について、本の見本や目次に、無料の解説サイトには無い用語の説明や理由の記述があると実物で確かめられたこと
片方だけでは足りません。無料で埋まらないと分かり、かつ候補の本にその不足分があると実物で確認できてから買う、という順です。
問題を増やすだけの問題集は、優先度が下がります。演習の量は、公式の公表問題と無料の過去問サイトで確保できることが多いためです。解説や分野別の整理が無料の範囲で足りないと分かったときに、その分を補う本を実物で選びます。
運営者はどうしたか
運営者は3級のとき、市販の参考書はほぼ開かず、無料の過去問解説サイト(FP3級ドットコム)の演習を中心に合格しました(受験は2022年で、当時は紙試験です)。ただし、これを普通の目安にはできません。運営者は短期間で受かったほうで、3級でも6分野を一から入れる負荷は小さくなく、必要な時間は人によって大きく変わります。参考書なしで足りたことを「テキストは要らない」と一般化はできません。
むしろ、テキストが必要な人は普通にいます。無料の解説を読むより、章立てで順に説明された本のほうが頭に入る人もいますし、独学の解説だけでは分野の背景が埋まらない人もいます。それは失敗でも遠回りでもありません。有料のテキストは運営者が使い込んでいないので中身の良し悪しは実体験としては語れませんが、要否は「無料でどこまで埋まるか」を実際に試してから決められます。
どう判断するか
- 無料で足りるか先に試す: 公式の過去問を1回分(学科と受ける実技)解き、無料の解説サイトで理由を追えるか見ます。追えるなら、問題・正答・理由まで0円でそろうので、テキストは要りません
- 埋まらない分野だけ本で補う: 無料の解説でも用語から追えない分野があれば、その分野を説明した本を、見本や目次で中身を確かめてから1冊。演習の量は公式の公表問題と無料の過去問サイトで足りることが多いので、問題を増やすだけの本より、無料で埋まらない解説を補う本を選びます
- 全部そろえてから始めない: 最初に全分野のテキストを買う必要はありません。無料の演習で回し、つまずいた分野だけ後から足すと、費用を抑えられます
- 3級を取ること自体を迷っているなら、教材より前の判断です。FP3級を取る意味はあるかで別に扱っています