FP3級で止めず、FP2級まで行く意味はあるか

FP3級で止めず、FP2級まで行く意味はあるか

公開 2026年7月26日7分

受けて合格した記録筆者はFP3級・2級とも独学で合格し、3級から2級へ進みました(2級は2023年認定・日本FP協会)。受けたきっかけは家の購入を考えて住宅ローンなどをFPに相談したことで、相談する側を先に経験してから学ぶ側に回っています。仕事で使うために取ったわけではないので、業務でどう評価されるかは書いていません。制度をどう使うべきかにも踏み込まず、公表されている試験範囲から3級と2級の差だけを整理します。

結論

3級と2級の差は、生活側の項目が増えることではありません。日本FP協会が公表している細目を突き合わせると、住宅ローンの仕組みや借換え・繰上げ返済、損害保険契約の読取り・理解、公的医療保険や雇用保険の給付、目論見書や運用報告書の見方は、3級にも2級にも同じ項目名で載っています。関連法規(税理士法・保険業法・金融商品取引法・弁護士法ほか)は、求められる水準の語まで両級で一致します。大項目の数で見ると2級で増えるのは10項目で、中小法人の資金計画・法人税・法人住民税・法人事業税・消費税・「会社、役員間および会社間の税務」・決算書と法人税申告書・諸外国の税制度・事業承継対策・事業と経営です。うち9項目は法人と事業の側で、残る「諸外国の税制度」だけは細目が法人向けとも個人向けとも限定していません。生活側で足されるのは2つで、水準の指定が「概略の知識」から「一般的な知識」に上がることと、大項目の下に2級だけの細目(外国投資信託や代替投資、不動産小口化商品の特徴)が付くことです。もう1つの差は受検資格で、2級は3級合格・実務経験2年・AFP認定研修の修了・旧審査試験の合格のいずれかが要るため、思い立った時点では受けられません。なお資格そのものが業務を開くかは級では変わらず、職業能力開発促進法第50条が置いているのは技能士という名称についての定めです。判断は、法人・事業の側に用があるか、生活側を「概略」より深く求めるか、受検資格の段に時間を割けるかで行います。

理由と、その根拠にした公式情報は本文にあります。

FP2級を調べると「意味ない」がすぐ出てきます。この記事は、その言い方を読み替える形は取りません。扱うのは3級と2級の差だけです。3級を取ること自体に意味があるかはFP3級を取る意味はあるかで扱っています。求人でどう評価されるかは、求人側の要件しだいで一般化できないので扱いません。

範囲は3級と同じところから始まる

きんざいのQ&Aは、6分野が「学科試験・実技試験や級を問わず」出題されると説明しています。これは分野の枠組みの話ですが、日本FP協会が公表している細目まで開くと、個々の項目名も3級と2級でほとんど同じだと分かります。

たとえば次の項目は、3級の細目にも2級の細目にも、同じ名前で載っています。

分野 両級に同じ名前で載っている項目
ライフプランニングと資金計画 住宅ローンの仕組み/住宅ローンの種類と内容/住宅ローンの借換え/住宅ローンの繰上げ返済/購入時の諸費用/教育ローン・奨学金
同上(社会保険・年金) 公的医療保険の全体像/国民健康保険の仕組み/公的介護保険の仕組み/失業等給付、育児休業給付/老齢給付/障害給付/遺族給付
リスク管理 損害保険契約の読取り・理解/医療保険と医療保険特約/がん保険と特約/介護保険と特約
金融資産運用 投資信託の仕組み/購入時手数料、運用管理費用と信託財産留保額/目論見書、運用報告書の見方

「範囲にこういう項目が入っているから2級を受ける」とは言えません。 同じ項目名が3級の出題対象にも並んでいるからです。

範囲の最初のほうにある「ファイナンシャル・プランニングと関連法規」も同じです。名指しされているのは税理士法・保険業法・金融商品取引法・弁護士法で、このほかに「その他の関連法規」が置かれています。この項目は両級にあり、求められる水準の語まで「詳細な知識を有すること」で一致しています。

増えるのは法人と事業の側

では何が増えるのか。協会が公表している大項目を級で数えると、次のようになります。

分野 3級 2級
ライフプランニングと資金計画 10 11
リスク管理 7 7
金融資産運用 13 13
タックスプランニング 10 17
不動産 9 9
相続・事業承継 9 11

増えるのは10項目で、名前を並べると次のとおりです。中小法人の資金計画、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税、「会社、役員間および会社間の税務」、決算書と法人税申告書、諸外国の税制度、事業承継対策、事業と経営。

このうち9項目は法人と事業の側です。 残る「諸外国の税制度」は、細目が「諸外国の法制度・税制度について概略の知識を有すること」とだけ書いていて、法人向けとも個人向けとも限定していません。国外に資産がある人には、この1項目だけが個人の側で増えることになります。

リスク管理・金融資産運用・不動産の3分野は、大項目の名前が3級と2級で完全に一致しています。

生活側は、水準が上がり、細目がいくつか足される

大項目が増えないほうの分野にも、差はあります。2つの形で出ます。

1つは水準です。細目は各項目の冒頭に、どこまで知っているべきかを書いています。住宅取得プランニングなら、3級は「概略の知識を有すること」、2級は「一般的な知識を有すること」です。社会保険も、3級の「概略の知識」に対して2級は「一般的な知識」になります。項目名は同じで、踏み込む深さの指定が違います。

ただし、すべての項目がこの形で上がるわけではありません。関連法規は両級とも「詳細な知識」ですし、「各種預貯金の種類と特徴」は3級の時点で「一般的な知識」です。水準の指定が動かない項目もあります。

もう1つは、大項目の下に足される細目です。大項目の名前が一致していても、その下には2級にしかない項目があります。 金融資産運用の分野では、次の2つがそれに当たります。

2級の細目にあり、3級の細目に無い項目 大項目
特殊なファンドの仕組みと特徴(外国投資信託/代替投資/投資信託の類似商品) 投資信託
不動産小口化商品の特徴 預貯金・金融類似商品等

投資信託も預貯金・金融類似商品等も、大項目の名前が3級と2級で一致している分野の中にあります。名前が同じでも、下は同じではありません。

生活側で2級に増えるのは、この2つの形です。

2級には受検資格の段がある

3級との差は範囲だけではありません。2級には受検資格があります。 日本FP協会の試験要綱は、3級合格を含む4つの条件を挙げていて、そのいずれか1つを満たす必要があります。

3級のほうは「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」で、思い立った時期に申し込めます。2級はそうではありません。4つの条件の中身と、どのルートで満たすかはいきなりFP2級は受けられるかで扱っています。

必要になってから取りに行く場合、この段のぶんだけ手前に時間が要ります。

根拠法が置いているのは名称の定め(級によらない)

この節の内容は級で変わりません。ただ、判断の前提になるので置きます。

技能検定の根拠法である職業能力開発促進法は、第50条で「技能検定に合格した者は、技能士と称することができる」と定め、同条第4項で「技能士でない者は、技能士という名称を用いてはならない」としています。法がここで置いているのは名称についての定めで、業務を技能士に留保する定めはこの条にはありません。

比べると、宅地建物取引士は違います。機構の概要は、宅建業法第35条の重要事項の説明と第37条の書面への記名を「宅地建物取引士が行う必要があります」と書いています。ただし宅地建物取引士になるには、試験に合格したあとに登録と宅地建物取引士証の交付が要ります(FP2級と宅建、どっちが難しいか)。

そして協会は、協会会員であるCFP・AFP認定者について「資格・認可が必要とされる業務については、法律の定める資格・認可を得ることなく、かかる業務を行ってはならない」と書いています。同じページは税理士法について「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない」を引き、税務相談をその業務に挙げています。報酬の有無は条件になっていません。 一方で弁護士法のほうは「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で……」と引かれていて、法によって線の引き方が違います。

この非対称そのものが、両級の「関連法規」に入っている中身です。第50条は級で分かれないので、ここは2級を選ぶ理由にはなりません。

運営者の場合

運営者は、家を買おうと考えて住宅ローンなどをFPに相談し、そのあとでFP技能検定を受けています。3級から受けて、2級まで進みました。

相談したのは住宅ローンで、これは細目の「ライフプラン策定上の資金計画」に並ぶ項目です。そして同じ項目名は3級の細目にもあります。 相談で必要だった範囲は、級を上げなくても入っていたことになります。

この記事で書けるのはここまでです。どの制度を使うべきか、いくら得かは扱いません。

どう判断するか

  • 生活側の目的なら、まず3級の細目に同じ項目名が並ぶ: 住宅ローンも保険も公的給付も、項目名は変わりません。2級で足されるのは、水準の指定(住宅取得プランニングなら「概略の知識」→「一般的な知識」)と、外国投資信託・代替投資・不動産小口化商品といった大項目の下の細目です
  • 法人・事業の側に用があるかで分かれる: 2級で増える大項目は10で、うち9項目が法人税・消費税・決算書と法人税申告書・事業承継対策といった法人と事業の側です。会社の経理や事業の引き継ぎが視野にあるなら、ここが最も大きい差になります
  • 国外に資産があるなら、もう1項目ある: 増える10項目のうち「諸外国の税制度」だけは、細目が法人向けとも個人向けとも限定していません
  • 受検資格の段を先に見る: 2級は3級合格などが要るので、思い立った時点では受けられません。必要な時期から逆算するなら、この手前の時間を数に入れます
  • 資格が業務を開くかは、級では変わらない: 職業能力開発促進法第50条が置いているのは名称の定めです。3級で足りるか2級まで行くかの判断に、この点は効きません

この記事が参照した一次情報

試験制度は変わります。上の「確認」日以降に改定されている可能性があるため、 受験の申込みや日程の判断は必ず公式サイトの最新情報で確かめてください。