FP2級と宅建は、どちらも独学で受ける人が多く、順番や併願の相談で並べて出てきます。この記事で扱うのは、その2つを比べるときに何を見れば判断に使えるかです。運営者は宅建に合格していません。 勉強はしましたが受かっておらず、宅建の難しさを合格者として語れる立場にありません。書けるのは、両方の実施団体が公表している情報から観測できる差だけです。
FP側の合格率と合格基準は、学科のものを使います。実技は種目が団体で違って横に並べられないのに対し、学科は両団体で同一問題だからです。実技の時間や問題数を出すところでは日本FP協会(資産設計提案業務)の数字を使い、そのつど断ります。
合格率を並べても、比べたことにはならない
宅地建物取引士資格試験は、令和7年度が受験245,462人・合格45,821人で、合格率18.7%でした。FP2級の学科は、2025年10月から2026年2月のCBTで、日本FP協会が47.18%(受検27,310人)、きんざいが24.07%(受検18,417人)です。
数字だけを並べると宅建のほうが低く見えます。ただしFP側は、同じ期間に同じ問題を解いた結果が団体で23ポイント違っています。この差が映しているのは、試験の難しさではなく受けている人の集まりです。片方が母集団で動く数字である以上、もう片方と引き算しても意味を持ちません(FP側の団体差はきんざいとFP協会、どっちで受けるかで扱っています)。
そろっていないのは母集団だけではありません。FP側は5か月ぶんのCBT集計で、宅建側は1年度ぶんの集計です。数え方の期間も違います。
合格点の決まり方
比べられるのは、合格の決まり方です。
FP2級の合格基準は、日本FP協会の試験要綱で学科が60点満点中36点以上、実技が100点満点中60点以上と決まっています。何点取れば受かるかは、申し込む前から分かります。
宅建は、合格基準点そのものが年度ごとに動きます。機構が公表している実施概況から、直近5年分を並べます。
| 実施年度 | 合格基準点(一般受験者) | 合格率 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 50問中33点 | 18.7% |
| 令和6年度 | 50問中37点 | 18.6% |
| 令和5年度 | 50問中36点 | 17.2% |
| 令和4年度 | 50問中36点 | 17.0% |
| 令和3年度(10月試験) | 50問中34点 | 17.9% |
「一般受験者」と断っているのは、宅建業に従事して登録講習を修了した人が5問免除の45問で受けるからです。その人たち向けの基準点は別に公表されています。この記事では一般受験者の数字を使います。
同じ資料の10年分で見ると、基準点は33点から38点まで動きました。50問中の5点なので、年によって1割ぶんの幅があった計算です。合格率のほうは、10月試験だけを取れば15.4%から18.7%の範囲に収まっています。
基準点の決め方を機構は公表していません。 決め方を説明した文書は見当たらないので、仕組みは推測しないでおきます。判断に効くのは結果で、そちらは事実として書けます——宅建は、何点取れば受かるかを受ける前に確定できません。 38点が必要だった年があり、33点で足りた年もあります。
FPの6割固定とは、対策の立て方が変わります。FPなら過去問の得点で合格基準との距離を直接測れます(測り方はFP2級はどのくらい難しく、どのくらい時間がかかるかにあります)。宅建には確定した合格点がないので、同じ測り方はできません。代わりに置けるのは、過去10年の一般受験者の基準点が50問中33点から38点の範囲にあった、という実績のほうです。上端の38点を目安にすれば、動いた範囲の全部をまたぐ位置になります。
受ける前の条件
宅建の受験資格について、機構の概要は「日本国内に居住する方であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できます」と書いています。思い立った年に申し込めます。
FP2級には受検資格があり、3級合格・FP業務の実務経験2年以上・AFP認定研修の修了・旧審査試験の合格のいずれか1つが必要です。当てはまるものがなければ、先に3級かAFP認定研修を挟むことになります(いきなりFP2級は受けられるか)。
入口が狭いのはFP2級のほうです。合格率の比較には現れない差ですが、受けられるようになるまでの期間には効きます。
落ちたときに何を失うか
外形をそのまま並べると、次のようになります。
| FP2級(日本FP協会) | 宅建(一般受験者) | |
|---|---|---|
| 実施 | 通年のCBT(短い休止期間あり) | 年1回・10月の第3日曜 |
| 試験時間 | 学科120分・実技90分 | 2時間 |
| 出題 | 学科60問・実技40問 | 50問・四肢択一式 |
| 手数料 | 学科5,700円・実技6,000円 | 8,200円 |
| 次に受けられるのは | 前回の合格発表日の翌日以降 | 翌年の10月 |
実技の時間と問題数は協会の資産設計提案業務のものです。きんざいの実技は科目が分かれていて、この欄には並べられません(きんざいとFP協会、どっちで受けるか)。宅建の登録講習修了者は45問・1時間50分になります。
宅建で不合格になると、次の機会は12か月後です。受験手数料は、申込みが受理されなかった場合などを除いて返還されません。申込みは7月、試験は10月、合格発表は11月下旬なので、続けるか降りるかを考える時期も1年のうちの決まった位置に来ます。
FP2級は通年で、次に受けられるのは前回の合格発表日の翌日以降です。合格発表は受検月の翌月中旬なので、待つのは半月から1か月半ほどになります(FPのCBT化で、何が変わって何が変わらないか)。年に数回、数日から1週間ほどの休止期間があります。受検日の3日前まではキャンセルもでき、手数料を差し引いた分が返ってきます。宅建にこの経路はありません。
申し込んだ人が受けなかった割合も、公表された数字から出せます。令和7年度の宅建は申込306,099人・受験245,462人で、およそ2割が受けていません。FP2級の学科は同じ期間に、協会が受検申請29,822人・受検27,310人、きんざいが20,498人・18,417人で、1割前後です。理由はどの資料にも書かれていないので、この差がどこから来るのかは分かりません。
出題の基準になる法令
基準日はどちらも4月1日ですが、区切り方が違います。
宅建は「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです」と機構が明記しています。年1回なので、受ける年度が決まれば基準日も決まります。
FPは、2級・3級のCBTで当年6月から翌年5月までに受ける分が当年4月1日基準という帯になっています。同じ年度でも、5月に受けるか6月に受けるかで基準日が1年ずれます(FP2級の独学は、どこで足りなくなるか)。
教材の版を照合するとき、宅建は年度を見れば足ります。FPは受ける月まで見ることになります。
合格したあとに要るもの
FP技能士は、学科と実技の両方に合格すると合格証書が発行され、等級ごとに技能士を名乗れます。きんざいのFAQは、1級・2級・3級の技能士について「一度取得すれば一生有効です。更新の手続はありません」と書いています。
宅建は、合格しただけでは宅地建物取引士になりません。機構の概要は「試験に合格し、試験を実施した都道府県知事の資格登録を受け、かつ、当該知事の発行する宅地建物取引士証の交付を受けた者」を宅地建物取引士と定義しています。合格の先に、登録と交付という別の手続きが残ります。
難易度とは別の話ですが、取ったあとに何が手元に残るかを比べるなら、ここも同じ表に載る項目です。
運営者の場合
運営者はFP2級・3級に合格していて、宅建は勉強しましたが合格していません。だからこの記事には、宅建の中身がどう難しかったかを書いていません。書けないからです。
FP側についても、合格したのは紙試験の時代です。CBTの受け方は公式情報から書いています。
片方だけ受かっている人間が両方の難易度を語ると、受かったほうを基準にした話になります。
どう判断するか
- 合格率の引き算をしない: 宅建の合格率は、合格基準点が年度ごとに動くなかで、10月試験では15.4%から18.7%に収まってきました。FPの合格率は同一問題でも団体で割れます。同じ「合格率」という語でも、指しているものが違うということです
- 合格点が確定するかで見る: FPは6割で固定なので、過去問の得点で距離を測れます。宅建で目安に置けるのは、過去10年の基準点が50問中33点から38点の範囲にあった、という実績のほうです
- 1回の失敗にいくら払えるかで決める: 宅建は落ちると次が12か月後で、8,200円は戻りません。FP2級なら半月から1か月半で受け直せます。使える時間が読みにくい時期ほど、この差は重く効きます
- 入口の一段を数に入れる: 宅建は誰でも受けられますが、FP2級は3級合格などが先に必要です。受検資格がない状態から比べるなら、FP側には一段多く積まれています