FP3級の合格率には、8割を超える数字と5割前後の数字の両方があります。どちらも試験を実施している団体が公表しているもので、しかも同じ期間・同じ問題の結果です。この記事で扱うのは、その2つが同時に成り立っている理由と、そこから自分の判断に何が使えるかです。勉強のやり方は書きません。
運営者は3級に合格していますが、受けたのは日本FP協会でした。あとで出てくるとおり、いま8割を超える合格率を公表しているのは協会の側です。
同一問題なのに割れる学科の合格率
3級の学科試験は、日本FP協会ときんざいのどちらでも受けられます。きんざいは複数指定試験機関方式のページで「2級・3級の学科試験は同一試験問題です」と書いています。
それでも、2025年10月から2026年2月のCBTで公表された学科の合格率は、日本FP協会が86.60%(受検42,641人・合格36,926人)、きんざいが53.97%(受検19,510人・合格10,530人)でした。開きは32.6ポイントです。同じ問題を解いた結果なので、この差は受けている人の集まりから出ています。どちらの資料にも理由は書かれていないので、集まりがなぜ違うのかは推測になります。 合格率が母集団で振れること自体の読み方は、2級を扱ったFP2級の難易度と勉強時間をどう見るかのほうです。
8割を超えるのは協会の側だけです。同じ問題を解いたきんざいの側では、受検した19,510人のうち8,980人が合格していません。
4期間、開いたまま平行に動いている
両団体がCBTで重なっている4期間を、同じ表に並べます。
| 集計期間 | 日本FP協会 | きんざい | 差 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月〜2026年2月 | 86.60% | 53.97% | 32.6ポイント |
| 2025年4月〜2025年9月 | 86.31% | 48.21% | 38.1ポイント |
| 2024年10月〜2025年2月 | 85.44% | 49.61% | 35.8ポイント |
| 2024年4月〜2024年9月 | 86.21% | 47.63% | 38.6ポイント |
同じ問題を解いていて、2年間ずっと32〜38ポイント開いたままです。 片方が上がれば片方も上がる、という動き方もしていません。一時的な偏りなら、4期間のどこかで縮む回があるはずでした。
きんざいにはもう1期間、協会がCBTを始める前の2023年11月〜2024年2月があり、そこだけ72.92%です。ただし受検者は7,263人で、以降の期間の3分の1以下でした。小さい母集団の比率を、大きい母集団と同じ重さでは扱えません。 この回はむしろ、母集団が変われば比率が動くことの実例側に入ります。
科目ごとに分かれる実技の合格率
実技試験は、団体と科目で問われる中身が違います。協会は資産設計提案業務の1科目、きんざいは個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務の2科目です(科目の選び方はFPの実技、どの科目で受けるかにあります)。
同じ期間の公表合格率を並べます。
| 団体・科目 | 合格率 | 受検者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 日本FP協会 資産設計提案業務 | 84.88% | 42,409 | 35,997 |
| きんざい 個人資産相談業務 | 65.61% | 6,195 | 4,065 |
| きんざい 保険顧客資産相談業務 | 47.90% | 12,719 | 6,093 |
科目のあいだで難易度は比べられません。 問う中身が違い、受けている層も違うからです。書けるのは、選んだ科目によって公表されている合格率がこれだけ違う、というところまでになります。
受検者数の桁もそろっていません。協会の実技は42,409人で、きんざいの個人資産相談業務は6,195人です。比率を同じ重さで並べられる規模ではありません。
保険顧客資産相談業務は、12,719人が受けて6,093人が合格しています。公表合格率が47.90%なのはここで、選んだ科目によって公表値がこれだけ違う、というところまでが書けることです。
「難しくなった」は公表値で確かめられるか
上の4期間で見ると、協会は85.44%から86.60%までの1.2ポイントの幅、きんざいは47.63%から53.97%までの6.3ポイントの幅に収まっています。どちらも一方向へ動いてはいません。
紙試験の時代とは、方式が違うので並べられません。そして「昔と比べて難しくなったか」に答えるには、合格率の上下だけでは足りません。 合格率は母集団で振れる数字なので、動いた分が出題の側から来たのか受検者の側から来たのかを、公表値だけでは分けられないからです。
出題が難しくなったと言うには、範囲・細目・問題そのものの変化が要ります。公表されているのは合格率と人数だけです。
6割で固定されている合格基準
3級の合格基準は動きません。協会の試験要綱では学科が60点満点中36点以上、実技が100点満点中60点以上です。きんざいは学科が60点満点中36点以上、実技が50点満点中30点以上で、満点は違いますがどちらも6割になります。
何点取れば受かるかが申し込む前に確定しているので、自分の距離は過去問の得点で直接測れます。 他人の合格率が協会の86.60%でも、きんざいの53.97%でも、自分が36点に届くかどうかは動きません。測り方そのものはFP2級の難易度と勉強時間をどう見るかにあります。
合格基準点そのものが年度ごとに動く試験だと、この測り方はできません(FP2級と宅建、どっちが難しいか)。3級は動かない側にあります。
学科は90分で60問、協会の実技は60分で20問です。受検手数料は学科4,000円・実技4,000円で、両方受けると8,000円になります。
運営者の場合
運営者が3級に合格したのは2022年です。受けたのは日本FP協会で、実技は資産設計提案業務でした。上の表で8割を超えている側の団体になります。ただし受けたのは紙試験の時代なので、表の期間には入っていません。 かかった時間は実質1週間以内でした。
この1週間を目安としては出しません。 前提知識も、集中できた条件も、運営者に固有のものだからです。直近の期間で見ても、協会の学科だけで5,715人が合格していません。
2級は体感が違いました。3級と2級をまとめて「簡単」と扱わないのは、そこに理由があります(級で何が変わるかはFP3級で止めず、FP2級まで行く意味はあるか)。
どう判断するか
- 8割超の数字がどこのものかを確かめる: 3級の学科は両団体で同一問題ですが、公表合格率は協会86.60%・きんざい53.97%です。片方だけを見て「3級は誰でも受かる」とすると、同じ問題で半分近くが受かっていない集団を数えないことになります
- 実技は科目まで見る: 公表合格率は47.90%から84.88%まで散ります。科目のあいだで難易度は比べられないため、どの科目を受けるかはFPの実技、どの科目で受けるかで扱う判断です
- 自分の距離は過去問で測る: 合格基準は6割で固定されているため、他人の比率ではなく自分の得点で測れます。過去問だけで足りるかは過去問だけで受かるか、教材にお金を払う線はFP3級、教材にお金を払う条件にあります
- 「難しくなった」を受験時期の材料にしない: 4期間の合格率は両団体とも一方向へ動いていません。動いた分が出題の側から来たのかは、公表されている合格率と人数だけでは分けられない話です